
駿河湾の焼津漁港から眺める富士山。うずまく雲の上にそびえる姿は一幅の絵のよう。藁科さんのキダチアロエ畑もこの近くにある
『野草酵素』の開発者、近藤会長がこだわりぬく原材料。そのひとつがキダチアロエだ。『野草酵素』につかわれるアロエが育つのは駿河湾にほど近い静岡県大井川地区。
近藤会長はなぜ、そのアロエにほれこんだのか。その信念に共鳴したつくり手がつらぬくものとは何か。ふたつの真摯な思いを受け、見事に育ったキダチアロエの畑を訪ねた。
江戸時代の蘭学書物『蘭畹摘芳(らんえんてきほう) 初編』に記載されているアロエ(国立国会図書館 蔵)
藁科(わらしな)雅彦氏(52歳)
1963年生まれ、静岡県出身。以前は家具メーカーに勤務。結婚により、義父が栽培に打ちこんでいたキダチアロエと出会う。その跡を継いでキダチアロエのつくり手となり、独自に考案した栽培方法を駆使して奮闘中
新鮮なアロエほどみずみずしく味が濃い。これがからだをそうじする力となる
11~12月ごろに咲くキダチアロエの花
アフリカやアラビアの熱帯地方原産のアロエ。その歴史は古く、エジプトのピラミッドで発見されたミイラの脇で、「アロエに下剤の効能あり」と記されたパピルス(古文書)も見つかっている。そのアロエがシルクロードを経て日本へ伝わったのは鎌倉時代。江戸時代になると「蘆薈(ろかい)」という生薬名でよばれ、緩下作用や抗炎症作用などの効能や用途を紹介した書物も出まわった。こうしてアロエは別名「医者いらず」として広がり、やけどや切り傷に塗ってもらった記憶のある方も多いのでは。
ミヤトウ野草研究所の近藤会長が『野草酵素』66種類の原料のひとつにキダチアロエを選んだのも、「からだのそうじ屋さん」としての効能に確信があったから。そして、「これぞ」と決めたのが静岡県大井川地区で藁科雅彦さん(52歳)が有機無農薬栽培するキダチアロエだ。
アロエには大腸のはたらきを整えるアロインという成分があるが、そもそも国産アロエは外国産よりもこの成分が濃い。また藁科さんが育てたキダチアロエを顕微鏡で調べたところ、ほかのものよりも有用菌の数が多いことがわかった。この菌は『野草酵素』の発酵にとても重要。さらに年間を通した品質の安定性も抜群とあって、近藤会長がほれこんだのである。
藁科さんによれば、大井川地区の温暖な気候はアロエ栽培にぴったりだという。
「95%以上が水分であるアロエは一度凍ると溶けてしまう。だから温暖な土地でしか育ちません。このあたりの平均気温は、成長期のキダチアロエに最適な20℃前後に近く、気温の変化も小さい。しかも平地なので1年中日光をたっぷり浴びられます。冬場に備えてビニールハウスは必要ですが、この土地はほんとうにいいアロエが育つんです」
思わず顔をしかめる苦みは、栄養がぎゅっとつまっている証拠だ
収穫されたアロエの株を1枚ずつの葉に切り分けるカッターをつかった手作業
畑を訪ねたミヤトウ野草研究所 製造部の手塚紳也さんと藁科さんがアロエ談義中
そう語りながら藁科さんが案内してくれた温かなビニールハウスの畑。つややかで肉厚な緑の葉を茂らせたキダチアロエが整然と並んでいる。この植えつけの間隔が、まず藁科さん独自の方法だ。
「つめこんで植えれば収穫の効率は上がりますが、人が入りづらくなってしまう。だからうちでは5年後、10年後を考え、間隔を空けて植えます。すると日光もまんべんなくあたって立派になるんです」
植えつけのあとは水と肥料やりがもっとも重要な作業。水はミネラルが豊富で名水として知られる南アルプスの伏流水だ。
「まずは水やりのタイミング。たとえば冬はアロエが凍らないように、寒すぎる日には控えます。また“水太り”は、絶対にさせません。水分が多すぎるとビタミン・ミネラルなどの栄養や有効成分が薄まるので、濃いまま保つために、慎重に適度な水分を与えることが大切です」
さらに化学肥料はつかわず、収穫もすべて人の手でおこなうのも信条だ。そんな確固としたこだわりを持ち、誠実にキダチアロエを育てる藁科さんの思い、それは近藤会長の思いと見事に一致する。
「近藤会長もいい意味で頑固な方だからね。それはわたしも同じ。だからはじめて会ったとき、『野草酵素』をこだわりぬいてつくっている姿に共感したんです」
ミヤトウ野草研究所の発酵熟成室前の張り紙。生き物である微生物への思いやりがこめられており、その思いは原料の生産者にも通ずる
キダチアロエの「一本木」栽培の畑。藁科さんの背丈を軽く越して伸び、まさに木立ちかジャングルのよう。家庭などで栽培されているアロエのイメージとは大きく異なる、珍しい光景だ
次なるビニールハウスはキダチアロエの「一本木」栽培。その名の由来どおり、木立ちのように伸びたアロエが、てっぺんだけに葉を茂らせている。
「一本木栽培は面積あたりの収穫量はすくないですが、葉は大きく育つ。それを下から順に収穫していくので、上だけ葉が残るんです。アロエは家庭でも勝手に育つイメージがあるでしょう。でも『野草酵素』につかうような、ほんとうにいいものをつくるには手をかけないと。そうして育てたキダチアロエはわが子のように大切ですね」
なるほど、心をこめ、手間を惜しむことなくつくる。そのひたむきさは『野草酵素』づくりと同じだ。藁科さんはつづける。
「ミヤトウさんに届けるのは愛情こめて育てた中でも、いちばん元気な状態の葉。それに『発酵のために生のアロエをまるごとつかいたい』という会長の意向を受けて、ミヤトウさんにだけは加工せず生のままで出荷しています。それはより手間もかかるし、神経もつかう。でも、近藤会長や『野草酵素』を楽しみに飲んでいる方々のためなんです」
収穫後のキダチアロエは人の手で厳しく選別され、新鮮なうちに出荷する。その最後の瞬間まで、藁科さんは思いをこめ、手塩にかけた大切な“わが子”を送り出す。
「近藤さんのおかげでからだが軽くなった」と言われるときほどうれしいことはありません。わたしの研究は「母に長生きさせてあげたい」とか、知り合いがからだの不調で苦しんでいるという話を人づてに聞き、なんとかしてあげられないだろうかという思いが動機となっています。とてもシンプルなのです。
人づき合いの深さとでも言いますか「この人をなんとかしてあげたい」という顔の見える関係や地域とのつながりをものづくりの原点としてきたのが、結果的にはよかったのだと思うのです。
それぞれの方のからだに合うものはないだろうか? たとえばアトピー、喘息で大変な思いをしている、お通じをよくしたい……商品開発のきっかけはそんな身近な人たちの要望からはじまっています。『野草酵素』はもちろん、『ゲルニン129』や『野草のしずく』もそこから生まれました。
妙高産の貴重な野草をつかっていますから、からだに悪いわけはありません。「発酵」技術で野草は生まれかわります。くわえて厳選した有用菌が思いがけないパワーを発揮します。そう考えると商品化のタネは尽きず、アイディアもわいてきます。
もっと人びとのよろこぶ顔が見たいのですが、性急さは禁物です。
目には見えないため、つい油断しがちな残留農薬の害。安全な食品選びを心がけていても、限界があるのも事実だ。そこで、家庭でかんたんにできる農薬の引き算を一部ご紹介しよう。
外側の葉を1〜2枚むく
内側部分は比較的安全。外葉をむけば大幅な農薬の引き算に!
皮をむき、軸(頭の部分)から1cmほどを切り落とす
注意したいのは、お尻より軸部分!
1.流水でよくこすり洗いをする
表皮についた殺虫剤やダイオキシンが落とされる!
2.まな板にのせて塩をふり、両手で軽く転がしたあと、流水ですすぐ
イネ科ジュズダマ属
生薬名:ヨクイニン(薏苡仁)
日本各地で栽培されている、熱帯アジア原産の一年草。名の由来は鳩が果実を好んで食べることにちなむ。
穀物の王様とよばれ食物繊維やタンパク質、ビタミンB1、B2などの栄養価に富み、健康茶の素材としても広く親しまれている。
種子には保湿作用やイボとり効果があることで知られ、世界三大美女の楊貴妃も美肌のためにハトムギの漢方を愛飲していたというエピソードが残っている。
中国の薬学書『本草綱目』では「脾を健やかにし胃を益す。肺を補い清熱する」とあり、今日の漢方でも消炎、鎮痛、排膿、強壮薬として用いられている。
「風に倒されても起き上がってくるくらい、生命力の強い植物だね。生のハトムギは噛むともちもちしていて、東南アジアではおやつにもなっているんだよ」
食事は食物繊維→発酵食品→タンパク質→炭水化物の順番が理想的。無理をしてもつづかないので、まずは野菜をはじめに食べることからはじめよう
突然ですが、みなさんは食事をする際、なにから箸をつけますか? 温かい味噌汁という方も、ツヤツヤご飯の誘惑には勝てない、という方もいらっしゃるかもしれません。わたしはというと、毎食必ず野菜を、なかでも「キャベツ」をはじめに食べるようにしています。
野菜に含まれる食物繊維には、じつに多様なはたらきがあります。まず、糖質の吸収を抑え、血糖値の上昇スピードをゆるやかにします。さらに、食物繊維は腸をそうじするのに欠かせない存在。腸内細菌が活発にはたらけば毎日の快便も助けてくれますし、肌ツヤもよくなりますね。
そこでわたしがおすすめするのが「食前キャベツ」です。その方法はじつにかんたん。小皿いっぱい(約100g)の生キャベツを食事の前に食べる。これだけで、食物繊維量は約2g、1日3食で毎日6gもとることができ、1日の摂取目標値19gに大きく近づきます。
また、キャベツにつけるのは味噌がいいですね。前回お話ししたとおり、味噌は腸内を整え、老化を食い止めます。既製品のドレッシングやマヨネーズは保存料などの食品添加物が多いので避けてください。
ふだん、野菜を意識して食べている方も多いと思います。今回の「食前キャベツ」は手軽で生活にもとり入れやすいので、ぜひ実践してみてください。野菜をたくさん食べるのが苦手な方は、健康食品で補うのもおすすめです。
最近、インターネットでいろいろな酵素を見かけます。なかには、『野草酵素』そっくりの名前のものも。カプセル状でしたが、姉妹品でしょうか?
(神奈川県・女性・39歳)
60年以上前に研究をはじめたころは、酵素に注目する人はほぼ皆無でした。それが、いまや空前の酵素ブーム。たくさんの会社が参入していますから、混乱されるのも無理はありません。しかし、わたしがつくる酵素は『野草酵素』と『野草酵素 顆粒』のふたつのみ。それ以外は名前が似ているだけで無関係です。姉妹品ではありません。
市場品の中には、安価な原料で水増しされたものや、保存料や着色料など合成添加物だらけの商品もありますから、選ぶ際はよくご確認ください。
もちろん、『野草酵素』は無添加、水増しもいっさいありません。原料は妙高山麓の野草をはじめ、産地を訪ねて生産者と話をし、納得のいった野菜やくだものを使用しています。自信を持っておすすめいたします。
『野草だより』、いつも楽しみにしています。とくに食材の話は興味深く、7・8月号で特集された枝豆は自分の大好物なので何度も読みかえしました。そこで質問です。近藤会長のお好きな食べ物が知りたいです。
(福岡県・女性・70歳)
わたしの好物は、くだもの。昔はくだものが高価でしたから、口にすると当時の「憧れ」の気持ちを思いだします。
生のくだものは、酵素が豊富なことでも有名ですね。たとえば、メロンやパイナップルを食べたら口の中がピリピリした経験はありませんか? あれは、ククミシンやブロメラインというタンパク質分解酵素が舌の粘膜に作用して起きる現象だといわれています。ほかにも、バナナを置いておくと甘くなるのは、酵素のアミラーゼがでんぷんを分解して糖にかえた結果なのです。
むずかしい話はさておき、くだものがおいしい季節です。食後に食べれば、くだものに含まれる酵素が消化を助け、からだがもともと持っている潜在酵素の節約にもつながりますから、デザートには旬の味を存分に楽しみたいものですね。