
書店に行くと健康関連のさまざまな本が並ぶ。タイトルだけではどれを読んだらいいのかわからない、と迷ってしまう読者のために、今号の野草だよりでは話題の健康本30冊を編集スタッフがイッキ読み! 情報過多のこの時代の本の選び方、読み方についてたっぷり3時間語り合いました。
編集長K 野草だより創刊から関わり13年。2児の父でもある42歳
編集S 入社3年目の31歳。3歳の女の子の母
編集T 食品メーカーから転職した入社1年目の31歳女性
ライターY 長年野草だよりに携わる専属ライター。37歳
デザイナーH 野草だよりの制作デザイン会社社長。62歳
『薬剤師は薬を飲まない』(宇多川久美子/廣済堂出版)
がんもどき理論の提唱者、近藤誠氏の『医者に殺されない47の心得』は100万部のベストセラーとなった
『「医療否定本」に殺されないための48の真実』(長尾和宏/扶桑社)
『効果がないどころか超有害! ワクチンの罠』(船瀬俊介/イースト・プレス)
デザイナーH(以下H) まずは薬関連の本から。『薬は5種類まで』は、高齢者は薬が効きやすいので部位別でなく体全体を診るべきという「老年病学」を唱えている医師が著者。睡眠薬が効きすぎて認知症と勘違いされ、不要な治療を受けた患者さんの事例には驚きました。
編集S(以下S) 『薬剤師は薬を飲まない』は表題が目を引く1冊。肩こりと頭痛で苦しんだ薬剤師が自然治癒力を奪う薬の害について訴えています。
ライターY(以下Y) 薬はあくまでも症状を抑えるだけで治すのは自分。そのために免疫を高めようという話は共感できるね。
編集長K(以下K) 医療否定本はいま多いよね。『医者に殺されない47の心得』は「がんもどき」理論、つまりいまの医療は手術の必要のないがんを切って再発しなかったとよろこんでいるだけだと主張している。がんの早期発見数と手術成功例も増えているのに、がん死亡者は減っていない。説得力あるよね。
編集T(以下T) いっぽう『「医療否定本」に殺されないための48の真実』は、医療否定本は断定しすぎているから鵜呑みにしないようにという論調です。
Y これは両方読んだ方がよさそうですね。『大往生したけりゃ医療とかかわるな』も医療否定の本ですが、それよりインパクトがあったのは“死”をタブー視せず、「逝き方」を考えるべきという姿勢。
S わたしが選んだのは『ワクチンの罠』。この本ではワクチンを全否定していました。
H ワクチンは統計論だよね。たとえば10万人の命は救えるけど、副作用で5人が死ぬ可能性をどう判断するか。
『医者いらずの食』(内海聡/キラジェンヌ)
『粗食のすすめ』(幕内秀夫/新潮社)
『食品業界は今日も、やりたい放題』(小藪浩二郎/三五館)
『食べるなら、どっち!?』(渡辺雄二/サンクチュアリ出版)
『まだまだあった! 知らずに食べている体を壊す食品』(手島奈緒/アスコム)
『脳がよみがえる断食力』(山田豊文/青春出版社)
『「断食」が健康のための最高の方法だ!』(石原結實/ワック)
『腸! いい話 病気にならない腸の鍛え方』(伊藤裕/朝日新聞出版)
『読む便秘外来 腸が健康になれば面白いほど人生がうまくいく』(小林弘幸/集英社)
『最強の福音! スーパー酵素医療 なぜ治るのか、答えはここにある!』(鶴見隆史/グスコー出版)
『腸は酵素で強くなる!』(鶴見隆史/青春出版社)
『Dr.鶴見の体の中からきれいにする 酵素ごはん』(鶴見隆史/KADOKAWA)
『健康の決め手は「酵素」にあった』(鶴見隆史/河出書房新社)
『食事を変えれば病気は治る』(鶴見隆史・神崎夢風/三和書籍)
『体を壊す13の医薬品・生活用品・化粧品』(渡辺雄二/幻冬舎)
『薬は5種類まで 中高年の賢い薬の飲み方』(秋下雅弘/PHP研究所)
『大往生したけりゃ医療とかかわるな 「自然死」のすすめ』(中村仁一/幻冬舎)
『薬剤師は薬を飲まない』(宇多川久美子/廣済堂出版)
『効果がないどころか超有害! ワクチンの罠』(船瀬俊介/イースト・プレス)
『「医療否定本」に殺されないための48の真実』(長尾和宏/扶桑社)
『「体を温める」と病気は必ず治る 』(石原結實/三笠書房)
『魔法の温度 「50℃洗い」で健康になる』(平山一政/扶桑社)
『アレルギーは「砂糖」をやめればよくなる!』(溝口徹/青春出版社)
『長生きしたけりゃ ふくらはぎをもみなさい』(槙 孝子/アスコム)
『心がみるみる晴れる 坐禅のすすめ』(平井正修/幻冬舎)
『自律神経を整える「あきらめる」健康法』(小林弘幸/KADOKAWA)
『ズボラでも血糖値がみるみる下がる57の方法』(板倉弘重/アスコム)
『医者に殺されない47の心得』(近藤誠/アスコム)
『目は1分でよくなる! あなたの目がよみがえる7つの視力回復法』(今野清志/自由国民社)
『病気を治したければ「睡眠」を変えなさい』(白濱龍太郎/アスコム)
食についての本も数多く出版されているが、神経質になりすぎると食べるものがなくなってしまうから悩ましい
『食品業界は今日も、やりたい放題』(小藪浩二郎/三五館)
『まだまだあった! 知らずに食べている体を壊す食品』(手島奈緒/アスコム)
『医者いらずの食』(内海聡/キラジェンヌ)
『食べるなら、どっち!?』(渡辺雄二/サンクチュアリ出版)
30冊すべてに目をとおすためには1日1冊のペースで約1ヵ月かかった
『Dr.鶴見の体の中からきれいにする 酵素ごはん』はイラスト入りで読みやすい
T シャンプーや歯磨き粉などの害について衝撃的だったのが、『体を壊す13の医薬品・生活用品・化粧品』。
H 日用品や化粧品メーカーはマスコミにとって大得意先。害は表に出てこない。
T 食品業界も同じです。『食品業界は今日も、やりたい放題』は食品添加物の研究者が書いた業界の暴露本。抜け道が多い食品表示のカラクリを書いています。
S 『まだまだあった!知らずに食べている体を壊す食品』は農業・畜産界の暴露本。
K 農薬が37回撒かれたりんごの表紙はインパクトがある。そのほか、霜降り牛はビタミン欠乏症の牛だとか、ホルモン剤を食べて短期間で成長する鶏とか……。
Y 『医者いらずの食』ではいまの食は絶望的だと一刀両断してるね。
S その点『食べるなら、どっち!?』は救いがあります。同じジャンルのふたつの商品を比較して、どうしても食べたいならこっちを選ぼうとアドバイスしています。
Y 添加物や農薬は不可避だとしたら、それを体外へ排出する方法ってないのかな?
H 『脳がよみがえる断食力』や『「断食」が健康のための最高の方法だ!』に断食が有効だとありました。食べないことで消化につかわれていた酵素を代謝にまわすと、脂肪に溜まった有害物質を排出できる。究極の引き算健康法ですね。
T でも食べたい! 食べないとからだがもたないです~(笑)。
S 『粗食のすすめ』ではどう書いていますか?
H 1日3度の食事を粗食にと言っています。粗食とは日本の伝統食。わたしにはこういう意見がいちばん信用できます。でも「○○がいい」とそればかり食べつづけるのは問題。盲信せずにバランスよく、が肝心です。
T 本誌でおなじみの鶴見先生の著作もたくさんあります。
H 『腸は酵素で強くなる!』は先生の主張を凝縮した良書だった。
T 『健康の決め手は「酵素」にあった』はそれより文字が大きくかんたん。『食事を変えれば病気は治る』は料理研究家との共著。いっぽう『スーパー酵素医療』は病気治療に焦点を当てた専門的な内容です。
S 初心者におすすめなのが『Dr.鶴見の体の中からきれいにする酵素ごはん』。前半は漫画付きの解説で後半はレシピ集。読書が苦手な人にも読みやすく内容も充実しています。
K 『魔法の温度「50℃洗い」で健康になる』も加熱調理しないほうがいいという点ではいっしょだね。
T 『読む便秘外来』は構成が面白かった。日本初の便秘外来を開設した医師によるQ&A集です。
H 『腸!いい話』も良書。医学的、物理的、文化的な広い視点で書かれてたよ。
株式会社アスコム
取締役編集部長 柿内尚文氏
『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』『医者に殺されない47の心得』など話題の健康本を刊行する出版社の編集責任者
本の企画は、まず想定する読者層の方々から直接お話を伺うところからはじまります。例えば、いまの中高年世代にとって病院との関係づくりは大きなテーマです。丁寧な診療を受けられないことを揶揄して「3分間診療」と言ったりしますが、じっさいは3分も診てくれないところもザラ。現代医療に対して不安や疑念を抱いてしまうのも頷けます。そういった悩みから解決策を探していくと、おのずと本の企画が生まれるのです。
また、ただでさえ情報が多い時代ですから、読者が取捨選択しやすいよう、内容がすぐ伝わるタイトルをつける傾向にあります。昨年度のベストセラーとなった、『医者に殺されない47の心得』もそのひとつです。人々の医療に対する不信感を端的に代弁しているのがヒットの要因でしょう。
超高齢化社会といわれますが、これからもさまざまな健康本が出版されていくでしょう。しかし、一過性のブームに終わるものではなく、長く読んでいただける本をつくっていきたいと考えています。
書店での売れ筋はやはり話題の健康法についての本
『長生きしたけりゃ ふくらはぎをもみなさい』(槙 孝子/アスコム)
『「体を温める」と病気は必ず治る 』(石原結實/三笠書房)
『目は1分でよくなる! あなたの目がよみがえる7つの視力回復法』(今野清志/自由国民社)
『自律神経を整える「あきらめる」健康法』は自律神経についてわかりやすく学べる良書
S 『ズボラでも血糖値がみるみる下がる57の方法』は、肩の力を抜いて糖尿病治療したい人向け。実践しやすいアイディアが満載。
Y 『アレルギーは「砂糖」をやめればよくなる!』もよかった。糖質を制限すると血糖値を安定させるために分泌されるホルモンを節約できて、アレルギーがよくなると。
T 流行りの健康法についてもたくさんの本が出てますね。『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』、『病気を治したければ「睡眠」を変えなさい』、『「体を温める」と病気は必ず治る』、『目は1分でよくなる!』など。『座禅のすすめ』も新鮮でした。いまに集中するために不安や欲を手放そう、という点は心の引き算健康法ですよね。
K 『自律神経を整える「あきらめる」健康法』はタイトルがすごく後ろ向き。だけどあきらめると副交感神経が優位になって、結果的にパフォーマンスが上がると。自分に厳しい人、頑張っちゃう人にはおすすめ。じっさいにぼくもこの本のとおり実践したら会議で怒らなくなった!
一同爆笑
H 読むだけですごい即効性だね(笑)。でも今回30冊すべて読んでみて、どれが正解というものでもなく選ぶのは自分なんだとあらためて感じたよ。そしてこれだけの情報が蓄積されたのは収穫だった。今後の野草だよりにも活かしていけると思うよ。
棚田では昔ながらの農村の風景が見られる。収穫後の「はさ掛け(天日干し)」で、米のうまみが増すという
5月、妙高山に「はね馬」がやってきます。
雪どけした山肌と残雪が、山の中腹などになんらかの模様をかたちづくることを雪形といいます。妙高山腹に飛びはねる馬の雪形が見えると、農作業(田植え)のはじまり。昔もいまも春を告げる風物詩として、妙高市の代表的なシンボルとなっています。
そして、雪どけがさらにすすんで「はね馬」のかたちがくずれ、太った牛のようになると野草のシーズンが到来。そのようにわたしは独自に判断しております(笑)。
昔から米どころである妙高市は、平野部はもちろん山間部にも水田が広がっています。
とりわけ市内東側には美しい棚田の風景が見られる。しかし残念ながら、その規模は年ごとに縮小傾向であると聞き、寂しく感じます。
田んぼの面積が小さいので生産性が悪い。急斜面のため機械化が困難で作業環境も厳しい。高齢化がすすみ跡継ぎがいない。こういった理由で棚田が消えていくのは、妙高市のみならず全国的な情勢となっております。
「山は人が手入れをしてやらないと、荒れてしまう」
妙高の野草採り名人・石田さんの言葉は、棚田のある山でも例外ではありません。
大雨が降ったときは水をためるダムの役割を果たして、地すべりを防ぐ。棚田は風通しがよく、病害虫の脅威も受けにくく農薬使用がおさえられる。気候に寒暖差があり、山の清水で成長する妙高の棚田米はおいしいと評判です。
棚田での農作業は、労力を要するわりに収穫量はすくない。しかし、米の品質は文句なしの一級品。これは、時代遅れでも手作業にこだわる『野草酵素』づくりと、どこか通ずるように思うのですが、どうでしょう。日本の原風景といわれる棚田を次世代へ。保護活動の強化を願うばかりです。
子どものころ母や祖父母とともに、田んぼで汗を流した記憶が鮮明に残っています。土にまみれ手間と愛情をかけて育てると、稲はみごとな実りでこたえてくれる。わたしにとって農作業は、ものづくりに対する姿勢や思いを学んだ原点。その経験はもちろん、のちの『野草酵素』づくりへの大いなる糧となったのです。
「毎日のリズムと 『長くても5分』がルールよ」
さとみちゃん はぁ~……。
荒木先生 どうしたの? 昨日はうれしそうにドッサリ報告してきたのに。
さとみちゃん それが今朝は出なかったんです。ウォーキングもがんばっているし、お水もゴクゴク飲んでいるのにな。
荒木先生 偉いわ、きちんとアドバイスを実践しているのね。ちなみに朝ご飯は食べた?
さとみちゃん あっ、今日は時間がなくて……。
荒木先生 そうだと思ったわ。食べたり食べなかったりだと、おなかは不安定なままよ。毎日スッキリ出すためには、「いつものリズム」をつくること。とくに朝食は欠かさないで。腸の蠕動(ぜんどう)運動がもっとも活発なのは朝食のあとなの。食後におなかが「グルグル」と鳴れば、腸がよくはたらいている証拠よ。
さとみちゃん へえ~。じゃあクマザサ青汁みたいに、ちゃんと習慣にしなきゃ!
荒木先生 そうね。おなかの調子が改善されてきて、ついうっかり忘れた、なんてことにならないように。それはそうと、いつも何分くらいトイレに入っているの?
さとみちゃん う~ん、10分くらいかな。
荒木先生 それは長すぎよ! ずっとトイレに座っていると、血行が悪くなっておしりを痛めてしまうわ。それに、出ないと力んだりゆるめたりをくりかえすでしょう? 血圧の急激な変化でからだに負荷がかかって、倒れてしまう危険もあるのよ。
さとみちゃん えーっ、大変! 10分なんてふつうだと思っていたのに。
荒木先生 それは大きな間違いよ。出ないからと長居してしまう人が多いけど、そのせいで常に長い時間をかけないと出ない、自宅でしかできない、なんて悪いクセがついてしまうの。
さとみちゃん わたし……、おしりが痛くなることがあったけど、誰にも言えなかったんです。
荒木先生 うんうん、つらかったわね。でも大丈夫! これからは「長くても5分」よ。これを守れば、おしりもよくなっていくはずだわ。
さとみちゃん しっかりルールを守ります! でも、それでも出なかったら?
荒木先生 さとみちゃん、「出ない出ない」と神経質になるのがじつはいちばんよくないのよ。ストレスはドッサリの敵だから、「そのうち出るさ」って楽な気持ちでね。あとはスルンッと出やすい姿勢やお通じにいいツボも教えてあげるから、自分に合う方法をみつけていきましょう。
さとみちゃん わかりました! 荒木先生、これからもいろいろ教えてください♪
尿酸値を上昇させ、痛風のリスクを高めるプリン体。1日の摂取上限は400mgとされている※。そんなプリン体を多く含むものとして、ビールばかりがとり上げられているが……。
※「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」より
プリン体とは?
「核酸」に含まれている成分のひとつ。通常は体内で分解・排出されるが、過剰摂取により排出が追いつかず体内に蓄積されると、痛風の原因になるといわれている。
ビールに焼き鳥、
シメのラーメン……
どれかひとつでもやめれば
立派な引き算に!
スイカズラ科スイカズラ属
生薬名:ニンドウ(忍冬)またはキンギンカ(金銀花)
砂糖のなかったころは、花の蜜を甘味として吸っていたことから「吸い葛」とよばれた。なお、生薬名である忍冬は、冬でも落葉せずに葉が残っている様子にちなむ。
ひとつの枝に白い花と黄色い花が同居するという、一風かわった特徴を持つ。その美しい姿から、欧米では観賞用に栽培される。
焼酎・みりんなどにスイカズラを浸けた忍冬酒は、薬酒とされ、徳川家康が長寿の酒として愛飲していたと伝えられている。
梁代の陶弘景(とうこうけい)の著した『名医別録』では、不老長生薬として収録され、「身腫を主治する。久しく服すれば、身を軽くして(中略)年齢を益す」とある。
「解熱作用があって、風邪で熱を出したときなんかにいいんだ。昔はよく、花を口にくわえて蜜を吸ったもんだよ。若葉や若芽は和えものにしてもおいしいね」