温暖化やエルニーニョ現象による異常気象が叫ばれる昨今。今年の正月、妙高は雪もなく、好天つづきでした。その後、寒気が南下してきて雪が積もり、やっといつもの妙高らしい冬景色が見られるようになり、胸をなでおろした次第です。
妙高の野草に雪は欠かせません。雪の水分、温度、含まれるミネラル、そして雪の重み、「雪圧」が野草を育ててくれるからです。ブナなどの「根曲がり」がいい例。幹が曲がっても雪の下で耐えぬく生命力が春の芽吹きを生みます。野草にも、過酷な環境を跳ねかえす力が蓄えられるのです。
妙高だからこそ安心してつづけられる
いま野草の話をしましたが、かくいうわたしも妙高の自然にはぐくまれ、その恩恵に浴してきたといっても過言ではありません。妙高で発見した有用菌をつかい、地元の野草を原料に、地元のスタッフに支えられてきたのですから。108回におよぶこの連載では、いまに至る紆余曲折をくりかえし語ってきました。まさに「根曲がり」のような歩みです。
いままでの歩み、経験は、研究所のスタッフにも引き継がれています。表面上はかわらないように見えても、研究課題や目標は日々、進化しているのです。その成果は、これからみなさんのお手元に届くはず……そうした期待をこめて本連載を締めくくりたいと思います。
※長い間、ご愛読ありがとうございました