日ごろ施術していると、患者さんからさまざまなお悩みを伺います。なかでも多いのが階段の上り下りについてです。
実際、ただ歩くだけよりも足腰に負担がかかる動作ですし、体重の6~8倍の負担がひざにかかっているともいわれるので、相談が多いのも頷けます。とはいえ、階段はいたるところにあり日常生活に不可欠なものですから、関節痛を抱える方にとっては切実です。
たとえ手すりにつかまっていたとしても、つまずいたり痛むひざをかばって踏み外したりといった、転倒のリスクも高い場所。階段が怖いからと散歩がおっくうになり、外出そのものを控えてしまうという話も聞こえてきますが、階段の昇降は筋力アップだけでなく心肺機能の強化にもつながります。健康効果の高いエクササイズにもなるので、避けるのはもったいないですね。
足を前後に開き、後ろ足に重心をかけながらかかとを地面へ押しつけるように力を入れる。ふくらはぎのストレッチになり筋肉がほぐれるのでおすすめ。片足8秒ずつが目安
そこで今回は、負担をかけずに階段がラクになるコツをご紹介します。ポイントは、上りと下りで踏み出す足をかえること。片足立ちになるときに、体重が踏ん張りのきく足にかかるようにしてからだを安定させるのです。どちらの足から踏み出すかは左のイラストを参考にしてください。
そして、もうひとつ。手すりにつかまり、左右の足を交互に出すのではなく一段ずつ両足をそろえながらゆっくりと静かに進むようにしましょう。元気よくドシンドシンと大きな音を立てることは、ひざへの負担が倍増しますのでおすすめできません。足の動きをスムーズにするストレッチもご紹介しますので、ぜひお試しを。これらのコツをつかめば、階段も怖くありませんよ!
1 上りはラクな足から!
力を入れやすいラクな(もしくは痛みのすくない)足からゆっくりと踏み出し、足の裏全体をそっと着地させる。もう片方を引き上げ、両足をそろえる
POINT
背筋を伸ばし、数段上を見上げながら進むようにしましょう
2 下りはつらい足から踏み出そう
数段下を見ながら、力を入れにくいつらい(もしくは痛みの強い)足から踏み出す。そっと着地したらもう片方を下ろし、両足をそろえる
POINT
勢いがつきやすいので、上り以上にゆっくりと。歩くときの2倍の時間を目安に
池田接骨院 院長
池田俊幸先生
「おばあちゃんの原宿」巣鴨で20年以上にわたって接骨院を営み、ふしぶしの相談を受けている。著書に『楽しくやせる! 元気になる! 骨盤フィットネス』など